2022年1月26日話し方に抑揚がない人の改善方法とは?
政治家の記者会見の様子をテレビなどでご覧になることがあると思いますが、皆さんはどういう印象をお持ちでしょうか?
私はとても残念に思うことが多いです。それは、終始原稿を見ながら一本調子でその原稿を読み上げているだけ、という場面をよく目にするからです。
特に気になるのは抑揚がなく一本調子だということです。
話に抑揚をつけることは、政治家のみならず一般の人でも話す際にはとても重要なことです。
私たちの話し方教室は、あがり症を治したい、という人が大勢受講されています。
そして、多くの方に、あがりを抑えて話せるようになってもらっています。
そして、そうした人には次のステップとして、相手に積極的に聞いてもらえる話し方を身につけていただいています。
その一つが、抑揚をつけて話す、ということです。
そこで今回は、話に抑揚をつけるメリットやその方法をお話します。
★抑揚のある話し方の主なメリット
話に抑揚をつけるメリットは主に2つあります。
メリット1:興味を持って最後まで話を聞いてもらえる
話は相手が理解した上で納得したり共感したりすることで初めて伝わったということができます。
話を聞いた相手の心を動かすことが大事なのです。
しかし、抑揚のない話は、同じ調子で言葉が流れてくるので聞き手は聞いていても心が動かず、つまらない話だな、と思ってしまいます。
また、一定のリズムでの話し方では長い時間聞いていることができません。せいぜい2分くらいまでしか集中して聞けないでしょう。
上司への報告や朝礼のスピーチなど、大概の場合、話は2分では終わらないでしょうから結局、抑揚がないと話を最後まで聞いてもらえない、ということになります。
一方、抑揚がある話は音調にメリハリがついているので聞き手は興味を持って聞くことができます。また、聞きやすいため聞き手にはストレスが少なく、話を最後まで聞いてもらえるのです。
メリット2:あなたの気持ちが伝わる
言葉はあなたの言っていることの意味を伝えますが、音調はあなたの気持ちを伝えます。
例えば、無愛想な言い方で「ありがとう」と言った場合、相手はこの人が本当にありがたいと思っているとは思わないでしょう。
ありがたいという気持ちを音調に表せていないからです。
本当に相手に感謝しているのなら、その気持ちを音調に表さないと、あなたの気持ちは相手に届きません。
同様に話に抑揚がないと、機械的に言葉が聞こえてくるだけで、あなたの人柄や気持ちは見えてきません。
特にリーダーは、熱意をその音調に乗せて話さないと人を動かすことはできないのです。
話に抑揚をつけてあなたの気持ちを音調に表せば、聞き手にあなたの気持ちや考えが確実に伝わるのです。
こうした理由から、私たちの話し方教室でも抑揚をつけて話すことに力を入れてご指導しています。
★抑揚がつけられない原因
私たちの日常を観察すると、接客や上司への報告などのビジネスシーンで、多くの人が抑揚をつけずに話していることに気付きます。
特に、話すのが苦手、という人に抑揚なく話す人が多いようです。
では、こうした人たちはなぜ抑揚をつけられないのでしょうか。
原因1:抑揚を意識していない
話すのが苦手な人は、話すことに精一杯、何とか最後まで話し終えることに意識を集中しています。
またそこまで話に苦手意識を持っていない人でも、とにかく話せばいいと考えて抑揚をつけることまで意識しません。
一本調子のままでも話し終えたことで満足しているのです。
原因2:気持ちや考えを伝えようとしていない
話は内容を伝えることが目的であり、自分の気持ちまで伝えようとはしていないというのがこのタイプの人の特徴です。
その典型例が、冒頭で述べた政治家の記者会見です。
多くの政治家の記者会見を聞いていると、発表内容を間違えないように伝えることに一生懸命で、自分の気持ちや考えを伝えようという姿勢は見られません。
従って、聞いている私たちは「この人、本気でそう考えているのかなぁ。官僚が作った原稿をそのまま読んでいるだけじゃないのかな」と疑ってしまいます。
ビジネスシーンでもプライベートシーンでも、自分の気持ちや考えを相手に伝えることはとても大切なことなのです。
★抑揚をつけるための練習方法
では、抑揚をつけて話すためにはどういうことを行えばいいのでしょうか。
ここでは3つご紹介します。
練習方法1:朗読をする
話に抑揚がない人は、抑揚をつけようと意識してもどのようにつければいいのかわからない人が大半です。
私たちの話し方教室でも、なかなか抑揚がつけられない、という人がいます。
こうした場合は、できている人の真似をすることが一番の近道です。
そのためには、朗読がお勧めです。
話に抑揚がない人は、文章を読む場合でもなかなか抑揚をつけて読むことができません。
朗読で抑揚をつける練習をすれば、次第に話にも抑揚をつけることができるようになります。
具体的には、YouTubeで朗読をしているものを探し、自分がやってみようという作品を選びます。
そして、その動画で朗読している人の抑揚を真似て、声に出して読むのです。
嬉しさや悲しさ、悔しさなどの感情表現や、声の高さ低さ、読み上げるスピード、文と文の間の間(ま)の取り方など、真剣にやればかなりの気付きがあります。
また、声に出すことで少しずつ抑揚の付け方が理解できるようになります。これはかなり効果的ですのでぜひ試していただきたいと思います。
因みに、私たちの話し方教室では、ビジネスボイストレーニングコースがあります。
このコースを受講している人は、講師の抑揚の付け方をお手本にしながらトレーニングしますので、気持ちを乗せた、抑揚のある話し方ができるようになっています。
練習方法2:人に話しかけるように話す
朝礼でのスピーチや面接で抑揚がない話し方をする人でも、雑談やお酒の席では音調豊かに話す人が多いですね。
そういう席ではリラックスして自分の気持ちや考えを話すことができます。
そしてその気持ちや考えを相手に伝えたいので、抑揚のついた感情表現ができているのです。
であれば、朝礼でのスピーチや面接などの緊張する場面でもその場にいる人のうち一人の顔を見て、その人に語りかけるように話すと、その人にわかって欲しいという気持ちが働き、抑揚がつけやすくなります。
しばらくその人の顔を見て話したら、次に別の人の顔を見ながら話す。
これを繰り返すことで自然に気持ちが表れた話し方ができるようになります。
練習方法3:話す前にしっかりと考える
話が苦手な人の最大の原因は、話す前の準備をおろそかにしていることです。
「いやだなぁ、やりたくないなぁ」と思っているので、これから話すことを事前にしっかりと考えること自体、気が進まないことに違いありません。
その結果、何をどのように話すかということがイメージできないまま話し始めてしまい、相手に伝わらない話になってしまうのです。
当然、こうした状況では抑揚をつけるなどの配慮もできません。
話す前に必要なことは、まず話す目的を明確にすることです。
朝礼のスピーチを例にすると、このスピーチで自分は何が言いたいのかをまず明確にすることです。
これをクリアにしていない話は途中で何が言いたかったのか分からなくなってしどろもどろになる可能性があります。
- 初めてのことでもチャレンジしてみよう
- 思い込みには気をつけよう
など、自分の言いたいことを明確にすることが大切です。
そして、どういうことを話すのか個条書きでストーリーを組み立てます。
できれば頭の中だけでなく、きちんと書き出すとよいでしょう。
慣れれば頭の中でもできるようになりますが、慣れないうちは紙に書くことをお勧めします。
その上で、朗読で練習したことを応用してどこで気持ちを表すかを考えます。
自分の意見がないな、と気付いたらぜひ意見や気持ちを入れて話すようにしていただきたいと思います。
そして、その部分は気持ちを込めて話すように意識します。
話す際には一人の顔を見てその人に語りかけるように話せば、抑揚のある話し方ができるようになるでしょう。
★まとめ
説得力のある話、人をひきつける話をするには、話の内容がよいことはもちろんですが、今回お話したような豊かな抑揚や話し方のスピード、ハッキリとした滑舌など、様々なことに留意せねばなりません。
ぜひそれらに目を向け、気をつけながら、わかりやすい話をしていただきたいと思います。
今回ご紹介した練習を行えば、確実に抑揚のある話し方に改善できます。
しかし、「自分だけでこうした練習を効果的にできるだろうか? 続けられるだろうか?」と思っておられる方もおられるではないでしょうか?
そういう方はぜひ、日本話し方センターのベーシックコースや2日間集中コース、ビジネスボイストレーニングコースをご受講ください。
これらのコースでは、プロの講師が受講生お一人おひとりに合ったアドバイスをしながら、抑揚が充分についた、説得力のある話し方を身につけていただけるようご指導しています。
抑揚のある魅力的な話し方を重点的に身につけたい方には、ビジネスボイストレーニングコースをお勧めします。
また、抑揚のある話し方とともに、あがり症を克服して要領良く話す力を身につけたい方には、ベーシックコースや2日間集中コースがピッタリです。
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